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ホワイトウィロウWillow

 ホワイトウィロウは水辺に育つ落葉樹で、属名のSalixがケルト語で「水辺」を意味することからもこの植物の性質をうかがい知ることができます。紀元1世紀ごろ、ディオスコリディスは彼の著書『マテリアメディカ』の中で背中の痛みを鎮めるために「ウィロウの葉をコショウ少々とすりつぶし、ワインで飲む」ことを勧めています。ホワイトウィロウの樹皮はサルチル酸誘導体であるサリシンを含み、解熱・消炎・鎮痛作用をもつためインフルエンザや頭痛、リウマチ、関節炎などに用いられてきました。サリシンは体内で腸内細菌によってサリゲニン(サリチルアルコール)とブドウ糖に分解され、さらに吸収されたサリゲニンは血中や肝臓で酸化を受けサリチル酸に代謝されます。一方、医薬品製造の歴史の上では1860年にドイツの化学者がサリチル酸の合成に成功し、次いでドイツのバイエル社がサリチル酸に比べて副作用の少ないアスピリン(アセチルサリチル酸)を開発しました。ホワイトウィロウが「天然のアスピリン」と呼ばれるのはこのためです。

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